TOEIC

●TOEICとは?

 TOEICとは、Test of English for International Communicationの略で、ETS(Educational Testing Service)という団体(の子会社)が実施している試験です。なお、ETSはTOEICの他にTOEFLという試験も実施しています。
 TOEICは国際コミュニケーション英語能力を評価するテストです。
 このTOEICは、合否ではなく点数で評価されます。よって、自分の英語力をはかるには最適な試験であると言えるでしょう。
 TOEICでは日常生活における英語のみをその対象としているため、専門的な用語などの知識は必要ありません。
 日本においては、英語の資格試験として、従来はいわゆる英検(実用英語技能検定)が有名でしたが、最近では特にビジネスマンの間でこのTOEICもかなり有名になってきています。一定以上の役職につくにはTOEICで何点が必要です、といった条件をつける企業も増えてきました。

 そんなTOEICテストですが、名前は聞いたことがあるけど一体どんなテストなの?、と思っている方も多いでしょうから、ここでTOEICの問題形式を紹介してみたいと思います。

 TOEICテストは7つのパートから成っています。Part IからPart IVまでがリスニングで、Part VからPart VIIがリーディングとなっています。
 他の英語試験と比べてTOEICに特徴的なのは、何と言ってもいきなりリスニング問題から始まる点です。さらにそのリスニングが45分間(問題数100問)も続きます。普段から英語を聞く環境にない方は、おそらくこのリスニングで既にお手上げ状態になってしまうのではないでしょうか。そんなリスニング問題のあとには、75分間(問題数100問)のリーディング問題が続きます。リスニングはできないけどリーディングなら、と思われる方も多いでしょうが、このリーディングも実は相当大変です。かなりの速読をしないと最後まで終わらせるのは困難でしょう。

 それでは、以下でPart IからPart VIIまで順に、リスニングセクションとリーディングセクションに分けて、問題形式とちょっとしたアドバイスをしていきたいと思います。



●リスニングセクション

 ここからは、TOEICの特徴とも言える、問題数にして100問、時間にして45分間ぶっ通しのリスニングセクションについて解説していきます。

 Part Iは写真描写問題です。
 一つの写真に対して、AからDまでの4つの英文が読まれます。この中から、写真を一番適切に描写している英文を選べばよいわけです。この問題が20問続きます。
 この写真描写問題に対するアドバイスは、問題と問題の間にある数秒間のポーズの間に、次の問題の写真を注意深く観察しておくことです。写真を見て、おそらくこんな描写がされるだろうと前もって考えておくと答えやすくなります。

 Part IIは応答問題です。
 まず、一人の話し手が質問をします。その後、もう一人の話し手がAからCまでの3種類の応答をします。この3種類の応答のうちで、質問に対する最も適切な応答を選べばよいわけです。この問題が30問続きます。
 この応答問題に対するアドバイスは、質問の出だしを注意して聞くということです。どの疑問詞が使われたかが分かれば、大抵の問題には正しく答えられます。

 Part IIIは会話問題です。
 二人の間での短い会話が流れます。その会話についての質問と、その質問に対するAからDまでの4つの選択肢が問題用紙に書かれているので、その中から会話の内容と一致する選択肢を選べばよいわけです。この問題が30問続きます。
 この会話問題に対するアドバイスは、会話が流れる前に質問文を読んでおくということです。質問を先に読んでおくことにより、どのような内容の会話が流れるのか大体の想像ができます。どんな会話か想像がつけば、聞き取りもかなり楽になることでしょう。

 Part IVは説明文問題です。
 少し長めの英文が流れます。一つの英文につき2,3の質問があります。問題用紙にはその質問と、質問に対するAからDまでの4つの選択肢が書かれています。この中から、英文の内容と一致する選択肢を選べばよいわけです。この問題が20問続きます。
 この説明文問題に対するアドバイスは、基本的に会話問題と同じです。英文が流れる前に質問文を読んでおきましょう。ただし、一つの英文に対して質問が2,3あるので、実際に質問を先に読んでおくのはかなり大変ですが。他には、英文のパターンに慣れておくというのも一つの手です。この説明文問題に出題される英文にはパターンのようなものがあって、機内でのアナウンス、ラジオのニュースなど、お決まりのものがよく出題されています。そこで、あらかじめこのような英文のパターンに慣れておけば、説明文問題はかなり楽になるというわけです。

 以上がリスニングセクションの問題形式とアドバイスですが、リスニングセクションに共通するアドバイスをもう一度ここで繰り返しておきましょう。
 リスニングセクションでは、どのPartにせよ、英文が流れる前に写真なり質問文なりをチェックしておきましょう。各Partでは、実際の問題が始まる前にそのPartの問題形式を説明する英文が流れてきますが、この説明を聞かずに、その時間を使って写真や質問文をチェックしておくと良いと思います。
 最後にもう一つアドバイスを。リスニングセクションでは、英文が聞き取れなくて正解が分からなかった場合、その問題はさっさとあきらめて適当に選択肢をマークしてしまいましょう。次の問題に備える方が重要です。流れてくる英文を聞きながら、前の問題の回答を考えるなんて、常人にはできませんからね。

 お疲れさま。ようやく45分間ものリスニング問題が終わりましたね。
 でも、安心するのはまだ早い!本当に大変なのは、この後のリーディングセクションなんですから。45分間も英文を聞いた後の疲れ切った体と頭で、問題を解かないといけないのですからね。
 準備はいいですか?それでは、次のリーディングセクションの解説に進んでください。



●リーディングセクション

 ここからは、TOEICの後半戦である、問題数100問、制限時間75分のリーディングセクションについて解説していきます。

 Part Vは文法・語彙問題です。
 問題用紙に空欄を含む英文が書かれています。この空欄を最も適切に埋める語やフレーズを、AからDまでの4つの選択肢の中から選べばよいわけです。この問題が40問続きます。
 この文法・語彙問題に対するアドバイスは、特にありません。文法問題は、問題集などでできるだけ多くの問題を解いて、慣れておくしかないと思います。
 ただ、この文法・語彙問題はできるだけ素早く回答していくべきだということは覚えておいた方がよいでしょう。文法・語彙問題で少し考えても正解が分からない場合は、大抵はいくら考えても正しい答えは分かりません。難しい問題に時間をとられていると、最後のPart VIIを時間内に終わらせることが困難になるため、素早く回答していく必要があるというわけです。
 大まかな目安として、Part Vは15分くらいで終わらせるようにしましょう。

 Part VIは誤文訂正問題です。
 問題用紙に、AからDまでの4つの語やフレーズに下線が引かれた英文が書かれています。その中で、誤った語やフレーズが使われているものが一つあるので、それを選べばよいわけです。この問題が20問続きます。
 この誤文訂正問題に対するアドバイスも、先ほどの文法・語彙問題と同じです。難しい問題に時間をとられないようにしましょう。
 大まかな目安として、Part VIは10分くらいで終わらせるようにしましょう。

 Part VIIは読解問題です。
 問題用紙に、ビジネスレターや広告といったような英文テキストが十数個書かれており、各々にいくつかの質問が続きます。各質問に対する最も適切な答えを、AからDまでの4つの選択肢の中から選べばよいわけです。この問題が40問続きます。
 この読解問題に対するアドバイスは、何といっても速読をすることです。TOEICの読解問題は、大学入試のような難解な文章が出ることはまずありません。どちらかというと、質問に対する答えを探していくような感じの問題になっています。そこで、英文を読む前にまず質問を読んでおき、質問に関係ない部分はできるだけスピードをつけて読んでいくとよいでしょう。
 また、TOEICではビジネスレターなどがよく題材になるため、普段からこのような決まった形式に慣れておくことも効果的です。
 Part VIIの大まかな時間配分は45分です。
 これまでの時間配分でいくと、Part VIIが終わってから、まだ5分間の余裕があります。この5分間で見直しをしましょう。ただ、実際はPart VIIにはかなりの時間がかかり、見直しをする余裕はない可能性が高いです。それどころか、慣れていない人は最後まで終わらせることができないこともよくあります。そのくらい、Part VIIは時間的に厳しいと覚悟しておいて下さい。5分くらい余らせてやるぞ!という気合いを入れて解いていくと、よいかもしれません。

 以上がリーディングセクションの問題形式とアドバイスですが、ここでもう一度ポイントを復習しておきましょう。
 リーディングセクションで一番重要なのは、時間配分です。リスニングセクションのように、強制的に問題が進行していくわけではないですからね。
 特に最後のPart VIIに時間がかかるため、Part VとPart VIはできるだけ素早く回答していくのでしたね。ここで、時間配分の目安を表にまとめておきましょう。

時間配分の目安
Part V 15 分
Part VI 10 分
Part VII 45 分
見直し 5 分

 お疲れさまでした。今度こそ本当に2時間のテストが終わりましたね。あとは結果を待つのみです。
 さて、少し休憩をとって心身ともに回復しましたら、最後のまとめに進んでください。



●まとめ

 以上、TOEICの問題形式とアドバイスを簡単に書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?

 これから初めてTOEICを受けてみようという方は、とりあえず最初は、本番と同じ2時間(200問)の模試が収録されている問題集を書店で購入して、一度2時間かけて実際に解いてみるのがよいかと思います。まずは問題形式に慣れることが一番ですからね。実際に問題に触れてみないと、ここに書いたようなことも実感がわかないでしょうし。それに、最初の目標は時間内に全問解ききることだと個人的には思っております。ちなみに、私も初めて受験したときは、時間が足りなくて5問くらい(最後の長文2題くらい)解くことができませんでした。時間内に解き終わるかどうかで、50点くらいは簡単に違ってくるのではないだろうか、と思ったりもしております。

 さて、長々と細かいアドバイスを書いて参りましたが、もちろん本当に大事なのは、あなたの英語力そのものを高めることです。当たり前のことですが、英語力があればTOEICのスコアもそれにふさわしい点になるはずです。ここで書いたような小手先のテクニックは二の次なのです。毎日こつこつと少しずつでも英語の勉強をして、英語力を磨いていきましょう。

 このような駄文を最後までお読みくださり、どうもありがとうございました。TOEICのスコアアップに少しでもお役に立てたなら幸いです。TOEICを受験なさる方、頑張ってください。私も応援しております。目標のスコアを達成できるとよいですね。


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